その“正論”があなたを苦しめる?ビジネス論に潜むワナと脱出のヒント


さくちょ
ビジネス系の情報に触れていると、必ずと言っていいほど目にする言葉があります。
- 「徹底的にリサーチして、ニーズのある商品を作りましょう」
- 「ビジネスに、あなたの好き嫌いを挟んではいけません」
- 「やりがいなんて後からついてくる。まずは稼ぐことに集中すべきだ」
…いかがでしょう。あなたも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
こうした言葉を目にするたびに、「そうだよな、ビジネスは甘くないんだ」と自分に言い聞かせ、必死にリサーチを重ね、自分の「好き」という感情に蓋をしてきたかもしれません。
しかし、もしあなたがそのやり方で少しでも「疲れたな…」と感じているのなら、この記事を少しだけ読み進めてみてください。
なぜなら、これらのビジネス論は決して間違ってはいないものの、多くの人が陥ってしまう「ワナ」が隠されているからです。
そして、情報が溢れかえるAI時代において、僕ら個人が輝くためのカギは、実はまったく別のところに隠されています。
巷でよく見るビジネス論に潜む「ワナ」

まず大前提としてお伝えしておくと、「リサーチをしろ」「好き嫌いを挟むな」という教えは、ビジネスの基本であり、全くもって正しい考え方です。
これを否定するつもりは一切ありません。
ただ、残酷な事実として、この正論通りに実践して上手くいく人は"ほんの一握りだ"という現実を知っておいてほしいのです。
実は僕自身も、過去にこのワナにハマりかけた経験があります。
そして、僕の元に寄せられる相談の多くが、この問題に行き着くのです。
なぜ、真面目な人ほど脱落してしまうのか?
- 「さくちょさん、リサーチを重ねてニーズもありそうなのに、全く手応えがありません…」
- 「自分の感情を殺して頑張っているのに、続けるのがしんどいです…」
こうした相談を、僕はこれまで数え切れないほど受けてきました。
皆さん、ものすごく真面目にセオリーを学び、実践しようと努力している。
でも、その結果として心が疲弊し、コンテンツ作りそのものが楽しくなくなり、やがては発信活動自体からフェードアウトしてしまう…。
そんな方を、僕はたくさん目にしてきました。
マジメな人ほど、この「正論」を愚直に守ろうとして、かえって自分を追い詰めてしまう。
これが、巷のビジネス論に潜む一つ目のワナです。
「成功者バイアス」という見えない壁
ではなぜ、この「一部の人しか成功しない方法」が、さも”唯一の正解”であるかのように語られるのでしょうか。
それは、成功した人の話だけがフォーカスされ、美談として語られる「成功者バイアス」が働いているからです。
メディアやSNSでは、このやり方でうまくいった一握りの人たちの声が大きく取り上げられます。
その裏で、同じように挑戦して挫折していった9割以上の人たちの声は、誰にも届くことはありません。
だから僕らは、いつの間にか「このやり方じゃないと成功できないんだ」と思い込んでしまうのです。
人は「論理」ではなく「感情」で動く

では、ビジネスのセオリーから少しだけ離れて、僕ら自身の購買行動を思い出してみてください。
あなたは、何か商品を買うときに、スペックや機能、価格といった「論理(ロジック)」だけで購入を決めているでしょうか?
もちろん、それらも大事な要素です。
しかし、最終的に「これが欲しい!」と心を決める瞬間には、
- 「なんだか面白そう!」
- 「この人が言うなら信頼できる!」
- 「このデザインが好き!」
といった、論理では説明しきれない「感情」が大きく作用しているはずです。
これは行動心理学の世界でも言われていることですが、人は論理では動きません。
だからこそ、ビジネスの世界では「意外なものが売れたり、売れなかったりする」という現象が頻繁に起こるのです。
「好き」を貫いたコンテンツが売れる理由
「ビジネスに好き嫌いを挟むな」という言葉とは裏腹に、作り手が「これが好きでたまらない!」という熱量だけで作ったようなコンテンツが、予想外に多くの人の心を掴み、売れていくケースは少なくありません。
なぜなら、そのコンテンツには、リサーチデータだけでは決して表現できない作り手の「熱」や「想い」といった感情が宿っているからです。
以前、僕もセールスコピーの「型」についてお話ししたことがありますが、あまりに型通りだと既視感が出てしまい、うさんくさく感じられてしまうことがあります。
それよりも、作り手の生々しい感情が乗った言葉の方が、僕らの心を揺さぶるのです。
AI時代、最強の差別化戦略は「体験談」

そして、この話はAIが急速に普及している現代において、さらに重要性を増しています。
ChatGPTのような高性能なAIを使えば、リサーチに基づいた「正しく」「分かりやすい」文章は、誰でも一瞬で作り出せるようになりました。
情報そのものの価値は、日に日に下がっています。
では、情報が民主化されたこの時代に、僕ら個人はどうやってその他大勢から抜け出し、自分だけの価値を届ければいいのでしょうか。
その答えは、たった一つ。
「あなた自身の体験談を語ること」に集約されると、僕は本気で思っています。
AIには絶対に真似できない、唯一無二の価値
AIは、インターネット上の膨大な情報を学習して、もっともらしい文章を生成することはできます。
しかし、AIには絶対に真似できないものが一つだけあります。
それは、あなたが実際に経験してきた一次体験、そこで感じた感情、そして失敗から得た学びです。
- あなたが過去に犯した、思い出すのも恥ずかしいような失敗談
- ある課題を乗り越えるために、試行錯誤したプロセス
- 特定の分野にのめり込んで、周りが見えなくなったほどの熱中体験。
これこそが、AIには絶対に生成できない、あなただけのオリジナルコンテンツの源泉です。
どんなにスキルや知識に自信がなくても、自分の体験を熱く語れるなら、それだけで十分な価値がある。
情報がコモディティ化(一般化)した今、その価値はむしろ高まっているとさえ言えます。
まずは気軽に「自分のこと」を語ってみよう
「でも、自分の体験なんて、人に語れるほど大したものじゃないし…」
そう思う気持ちは、痛いほどよく分かります。
ですが、思い出してみてください。
僕が何度もこのブログで書いている、建設コンサルタント時代の「具体と抽象の往復運動」の話も、傍から見ればただのサラリーマン時代の苦労話です。
でも、その具体的な経験があったからこそ、抽象的なコンテンツ作りの本質を、あなたにリアルに伝えられる。
だから、難しく考えすぎないでください。
完璧な商品を作ろうとリサーチに明け暮れる前に、まずはもっと気軽に、あなたが過去に経験したこと、感じたことをコンテンツにしてみませんか?
それは、ブログ記事でも、SNSの投稿でも、何でも構いません。
あなたの言葉で語られる体験談は、必ず誰かの心に届き、AI時代の荒波を乗り越えるための、最強の武器になるはずです。
まとめ

今回は、巷に溢れるビジネス論の「ワナ」と、AI時代における最強の差別化戦略についてお話ししました。
- 巷のビジネス論(リサーチ重視、好き嫌いNG)は正しいが、それで成功できるのは一握り。多くの人は疲弊し、脱落してしまう。
- 人はロジックではなく「感情」で動く生き物。だからこそ、作り手の熱量がこもったコンテンツが心を動かす。
- AIが台頭する現代、僕ら個人の「体験談」こそが、誰にも真似できない最強の差別化要因になる。
もしあなたが今、情報発信に行き詰まりを感じているなら、一度リサーチや「正しさ」から離れて、あなた自身の内側にある「体験」という宝の山に目を向けてみてください。
あなたの失敗も、成功も、悩みも、そのすべてが誰かの役に立つ貴重なコンテンツになります。
もっと気軽に、あなたの物語を語り始めてみましょう。