アンラーニングとは?VUCA時代を「しなやかに」生き抜くための学習棄却の技術


さくちょ
- 「新しいスキルを学んでいるはずなのに、なぜか成長が実感できない…」
- 「たくさんの情報をインプットしても、なんだか頭に入ってこない…」
あなたも、そんな風に感じたことはありませんか?
実はそれ、あなたの能力や努力が足りないからではないかもしれません。
原因は、古い知識や価値観を「捨てる」ことができていないだけ、という可能性が高いんです。
変化のスピードがとてつもなく速いこの時代、僕らが本当に身につけるべきなのは、新しい知識を詰め込むスキル以上に、古くなったものを手放すスキル、つまり「アンラーニング(学習棄却)」の技術です。
今回は、AI時代を心穏やかに、そして力強く生き抜くための「アンラーニング」について、僕自身の失敗談も交えながらお話ししていこうと思います。
なぜ今「アンラーニング」が絶対に必要なのか?

そもそも「アンラーニング」って、聞き慣れない言葉ですよね。
簡単に言うと、
「不適切になった既存の習慣・知識・価値基準を捨てて、新しく有効なものに入れ替える技術」
のことです。
コロナ禍や急激な円安のように、次々と想定外のことが起こり、将来の予測が全くできない…。
そんなVUCAと呼ばれる不確実な時代を、僕らは生きています。
昨日までの常識が、今日にはもう通用しない。
そんな世界では、過去の成功体験が、むしろ足かせになってしまうことすらあるんです。
優秀なビジネスパーソンであればあるほど、このアンラーニングは絶対に必要だと僕は思っています。
AI時代に「人間の幹」を育てるということ
さらに、AIの進化も待ってくれません。
これからの時代、ただAIに質問を投げかけているだけでは、間違いなく時代に取り残されていきます。
AIが進化すればするほど、僕らに問われるのは、AIには決して真似できない人間ならではの能力です。
以前の記事でも書きましたが、僕らが育てるべき「幹」とは、
- 物事の本質を見抜く洞察力
- 情報を組み合わせ新しい価値を生む企画力
- 他人の痛みに寄り添う共感力
といった部分でしょう。
アンラーニングができていない状態は、まさにこの「幹」が貧弱な状態。
古い常識や価値観というグラグラの幹に、いくら新しい知識(枝葉)をつけようとしても、不安定ですぐに折れてしまうのは当然ですよね。
だからこそ、古い自分を脱ぎ捨てて、しなやかで強い「幹」を育て直すアンラーニングが、今どうしても必要なのです。
学習を邪魔する「心理的な壁」の正体

「アンラーニングが大事なのはわかったけど、具体的にどうすれば…?」
そう思いますよね。
実は、僕らの学習を邪魔している一番の要因は、「心理的な抵抗」にあります。
例えば、仲の良い友達との会話って、リラックスしているから話がスッと頭に入ってきませんか?
でも、これが苦手な上司や同僚との会話になると、どうでしょう。
- 「何か言われるんじゃないか…」
- 「この人の話は聞きたくないな…」
そんな心理的な壁ができて、相手がどんなに有益な話をしてくれても、なかなか頭に入ってこない。
あなたにも、そんな経験があるはずです。
僕も、母親から「あんたはいつもこうなんだから!」なんて言われた日には、もう大変でしたよ(笑)。
その後に続く普通の会話や頼み事さえ、シャッターを下ろして聞けなくなってしまうんですよね。
この無意識の抵抗こそが、新しい学びを阻害する元凶。
つまり、アンラーニングの第一歩は、この心の壁を取り払い、いつでも「フラットな状態」でいられる自分になることなんです。
変化の時代を乗りこなす「アンラーニング」3つの実践法

では、どうすれば心理的な抵抗をなくし、古い価値観を手放せるのでしょうか?
ここからは、僕も日々意識している具体的な3つの実践法をご紹介します。
1. 越境する:あえて“アウェイ”に飛び込む
一つ目は、意識的に自分の心地良い世界(コンフォートゾーン)の外に出ていく「越境の姿勢」です。
- 普段は読まないジャンルの本を手に取ってみる
- 全く興味のない分野のイベントに参加してみる
- 自分とは価値観が違う人とあえて話してみる
最初は面倒に感じるかもしれません。
でも、「分からないことをやるのはめんどくさい」という気持ちで自分の枠を狭めてしまうのは、本当にもったいない。
実は僕も、AIと一緒にブログを自作する「バイブコーディング」に挑戦した時は、もう本当に大変でした。
右も左もわからない中で「とにかくやってみよう」と着手したところ...ものすごいダサいサイトができたんですよ。
あまりにもダサすぎて、見るに絶えない状況…一回目は早々に挫折しました。
でも、そこから這い上がって再挑戦。
今度は少しずつコツを掴んできて、やっと形になってきた!
…と思った矢先、今度はAIに「ドラフトの記事を全部消しといて」と指示したら、なんと公開中の大切な記事まで全削除されちゃったんです。
6時間かけて整えた約30記事が、ほんの5秒で消えた時は、顔が青ざめましたね…。
でも、この痛い失敗体験があったからこそ、AIとの正しい協働の仕方や、新しい技術と向き合う姿勢を身につけることができました。
恥ずかしい失敗も含めて、自分の知らない世界に飛び込む「越境」こそが、変化の時代を乗りこなす最強の学習法なんです。
2. アマチュアになる:専門家の仮面を脱ぐ
二つ目は、「アマチュアリズムの実践」です。
何か新しいことを学ぶとき、僕らはつい「専門家」として振る舞おうとしてしまいます。
僕自身も、コンテンツ作りの世界で長年やってきた経験から、「ブログとはこうあるべきだ」とか「コンセプトはこう作るべきだ」という固定観念に縛られていた時期がありました。
でも、AIという全く新しいツールに出会った時、僕は一度その専門家の仮面を脱ぎ捨てて、「右も左も分からない素人」として向き合ってみたんです。
すると、どうでしょう。
- 「こんなこともできるのか!」
- 「この作業はAIに任せられるな!」
と、今まで見えていなかった可能性が次々と見えてきて、一気に世界が広がりました。
プライドは、時として成長の最大のブレーキになります。
既存の経験を一旦脇に置いて、いつでも素人になれる柔軟さを持つことが、アンラーニングを加速させます。
3. 姿勢をスキルにする:「起き上がりこぶし」メンタル
最後は、感情が揺さぶられた後、意識的にフラットな状態に戻す練習です。
これはもう、日々のトレーニングあるのみ。
例えば、母親に嫌なことを言われてカチンと来た後。
「OK、今の指摘は嫌だった。でも、その後の話は別物だ」と、意識的に気持ちを切り替えて、ニュートラルな自分に戻る練習をするんです。
これを繰り返していくと、感覚でいうと、嫌なことに囚われにくくなるんですよね。
まるで、ボクシングで殴られてもすぐに体勢を立て直すサンドバッグや、倒されてもすぐに起き上がってくる「起き上がりこぶし」のようなメンタル。
この「姿勢」は本当にバカにできなくて、フラットな自分でいられる時間が長ければ長いほど、あなたはより多くの有益な情報を引き寄せることができるようになります。
まとめ

新しい当たり前を獲得するためには、古い常識を忘れる勇気が必要です。
アンラーニングは、何かを記憶したり分析したりするような難しいスキルではありません。
むしろ、自分の心の状態に気づき、それを意識的にコントロールする「姿勢」そのものです。
AI時代を生き抜くためには、AIスキルを磨くことももちろん大事ですが、それ以上に自分という人間そのものをアップデートし続けることの方が、はるかに重要だと僕は信じています。
新しいツールを追いかけるのは、ほどほどに。
それよりも、日々の出来事の中で生まれる自分の感情の変化に気づき、それを乗りこなす練習をしてみませんか?
その小さな一歩が、これからの不確実な時代を、あなたらしく、そして心穏やかに生き抜くための最も賢い戦略になるはずです。